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HULOT「deco」は建物をコンセプトとして生み出された作品。
今回、ジャケットやビデオ、アートワークの撮影場所に金沢21世紀美術館を選んだのはそんな理由。

9月某日。HULOTこと伊藤さん、今回カメラマンとして撮影をお願いしたHiroshi Watanabeさん、「deco」まわりのアートワーク全般を手がけてくださったデザイナー前山陽子さん(gmt/ガムテ)、フロッグマン/U.S.B.スタッフという4人で金沢へ。

羽田から石川県小松空港へ飛び、そこから金沢市内まではバスで約1時間。
途中、のどかに広がる緑の平地や日本海の海岸沿いを抜け、「香林坊」というバス停で下車。

世界的に著名な日本人建築家(妹島和世さん・西沢立衛さん)とアーティスト、キュレイターの話し合いによって実現したというこの美術館は、建物自体、またはその一部分がアート作品として存在するという、何とも不思議な空間。



今回の撮影の1番の目的でもあった、「Leandoro's Pool(レアンドロのプール)」。 美術館の中庭に設置された、藍々と眩しい、一見普通の小さなプール。でも実は……! 写真からもわかるように、洋服のままは入ることができてしまうプールなのです!?

この写真、どうなってるの? 合成写真? という声も聞こえてきそうですが、合成写真ではないのです。この不思議なアート作品の種明しはこちら。(実際に金沢21世紀美術館へ足を運んで真相を突きとめたいという方はクリックしないようご注意を!)

とにかく白くてシンプルな建物。360度ガラス張りのこの円形美術館は、正面エントランスを敢えて設けず、4方向から入館できるという開放的なつくり。光を存分に採り入れ、シンプルなのに遊び心たっぷりなその空間はまさにHULOTの音の世界のよう。



撮影2日目は休館日ということもあり、展示室以外のスペースは開放していたものの人は少なめ。デザイナー前山さんとHiroshi Watanabe 氏のディレクションで、座ったり寝転がったり持参した自前衣装を脱ぎ着したりと伊藤さんにはいろいろしていただきながら、存分に空間を生かした写真を撮影。シンプルな建物の反面、置いてあるソファや椅子などは静かに主張するようなものばかりで目にも楽しい。

ご自分の作品でも、子供や人物を被写体とした温かみのある写真が特に印象的なHiroshi Watanabe 氏による、HULOTアーティスト写真セッション。贅沢。ご自身もアーティスト写真を撮られる立場になることもあるHiroshi Watanabe 氏だけあり、「伊藤くん、これはずるいよ。ずるいくらいかっこいいアーティスト写真だよ」と撮影の雰囲気を和らげつつ、撮影した写真にも満足のご様子。お互いに直接会うのは2回目という両氏でしたが、音楽家/クリエーターとしての音楽制作の話や、父親のあり方・子育て論といった話まで、撮影の合間の話題も充実。



中庭に出るために設置されたのかと思わせる小さな自動ドアを抜けた先に広がる、部屋をまるごと作品とした「Blue Planet Sky(タレルの部屋)」。部屋はベンチでぐるりと囲まれ、窓はないのに空気の移動が感じられて上を見上げると、そこには四角く切り取られた天井が。その、ガラスも何もない天井の四角い切り抜きからは、日の光はもちろんのこと、雨や風、そしてきっと金沢の冬空には雪までが入り込むのでしょう。空の表情をそのまま切り取って見せてくれるその作品の、建物なのか庭なのかという空間に圧倒され、一同思わずたたずんでしまうほど。

撮影2日目に降られてしまった雨。降り落ちるその雨が、常に違った顔を見せるタレルの部屋の真の作品性を鑑賞させてくれたことは、金沢での撮影も満足にほぼ終了という私たちにとって、とても幸運な事でした。

こちらのサイトや「stairway」PV、フライヤー、インタビュー掲載雑誌など、今回の『deco』まわりで使われているHULOT写真はすべてこの金沢で撮影されたものです。今回の撮影にご協力いただいた皆さまと金沢21世紀美術館に最大の感謝。ありがとうございました!

All photos by Hiroshi Watanabe